映画館いまむかし
2026年7月28日
先日、家族で買い物へ出掛けた際にショッピングモールに併設された映画館の前を通ると、話題の映画「マイケル」が上映中でした。すでに観ていた息子が「もう一度観てもいいと思えるくらい良かった」と勧めてくれたこともあり、そのまま映画館へ入ることになりました。
思えば、映画館で映画を観るのは約20年ぶりです。マイケル・ジャクソンといえば、世界中を熱狂させたスーパースター。もちろんその存在は知っていましたが、私自身はアルバムを買うほどの熱心なファンではありませんでした。
内容についてはネタバレになるので詳しくは触れませんが、本作はマイケルの半生を描いた伝記映画です。最大の魅力は、誰もが一度は耳にしたことのある数々の名曲と主人公を演じるジャファー・ジャクソン(マイケルの甥っ子)の圧倒的な存在感です。往年のファンはもちろん、私のような「にわかファン」でも十分に楽しめる作品でした。
一方で、映画そのものと同じくらい印象に残ったのが、映画館そのものの変化で、チケットは窓口ではなく自動発券機やスマートフォンで購入し、座席はすべて指定席。館内も清潔で20、30年前の記憶とはまるで別世界でした。私が若い頃の映画館は、自由席が当たり前で人気作品は開場前から長蛇の列ができ、立ち見になることもしばしばでした。入れ替えのない上映スタイルが主流だったため、一度チケットを買えば途中で退出しない限り何度でも同じ作品を観ることができました。朝から入館し気に入った映画を何度も繰り返し観て、気が付けば夜になっていたということも珍しくありませんでした。
また、「二本立て」の上映も多く、週末にはオールナイト上映で夜から朝まで映画館で過ごすこともありました。館内ではタバコを吸う人もいて、床にはポップコーンの袋や空き缶などのゴミが落ちているのが当たり前の時代でした。それでも不思議とあの独特の雑多な雰囲気には味わいがあり、多くの人が映画館という空間そのものを楽しんでいたように思います。
現在では、全席指定制や完全入れ替え制で、立ち見もなく快適さや安全性を考えれば、時代の流れとして当然の進化だと思います。今回観た「マイケル」も、最新のデジタルプロジェクターと迫力ある音響設備のおかげで、ライブ会場にいるような臨場感を味わうことができました。息子から「IMAXで観たらもっとすごいよ」と勧められ、次はぜひ体験してみたいと思っています。
スマートフォン一つで、いつでもどこでも映像を楽しめる時代になりましたが、それでも映画館には、家では味わえない大きなスクリーンと迫力ある音響で特別な空気感があります。
久しぶりに訪れた映画館には若い人たちの姿も多く、一時期の閑散とした印象はなく、以前にも増して活気が戻っていました。時代とともに映画館の姿は大きく変わりましたが、大きなスクリーンを前に照明が落ち、物語の世界へ引き込まれていく高揚感は、昔も今も変わりません。
そんな「変わるもの」と「変わらないもの」の両方を感じることができた20年ぶりの映画館でした。
