「燃えるゴミ」と「燃やすゴミ」
2023年7月6日
恐ろしいことに40代最後の年を迎えた、企画・コピーライティンググループの中村です。
昨年以来、リサイクル関連のお仕事をさせていただいているのですが、「ゴミ」に対する表現も時代につれて変わってきています。
私の小さい頃は、日常的に出る紙や生ゴミなどは「燃えるゴミ」という言い方だったのですが、それがいつの間にか、「燃やすゴミ」という表現に変わってきたのです。
それでは、「燃えるゴミ」と「燃やすゴミ」とでは何が違うのでしょうか?
前者が受動的であるのに対して、後者は能動的な表現となり、これにはリサイクルの概念が入ってきたことが大きく影響していると思います。
「燃やすゴミ」=「(自分の意思で)燃やすゴミ」であって、これからはゴミを捨てる前に、燃やすのか?燃やさないのか?しっかり立ち止まってよく考えてから捨ててくださいね、本当に燃やしていいんですね?後悔しないですね?できれば燃やさずにリサイクルしてくださいね!という、行政の熱い思いが伝わってきます(少なくとも私には…)。
そして最近驚いたのが、これのさらに上を行く表現が登場したことです。
とある市がこれからは「燃やすゴミ」を「分別頑張ったんやけど、燃やすしかないゴミ」に変更すると発表したのです。
わざとそうしているのか少し素人っぽいコピーなのですが、こう言われてしまうと、誰しもゴミを出すのに少し躊躇してしまうのではないでしょうか。私、本当に分別頑張ったんだろうか、もう少し頑張ってみよう…と。市民のリサイクルに対する意識を高めるために、より効果的なコピーだと感心しました。
これこそ、コピーライティングの原点だと思うのですが、同じ事柄を表現するにしても、どちらの視点で言うのか、どんな言葉を使って訴えかけるのかによって、その意味や受け手の印象が大きく変わることを改めて確認させてもらえた出来事でした。