夏は、夕暮れ
2023年7月20日
こんにちは。デザイン部門のヤバナです。
古典の時間に習った、あの有名な随筆では「秋は、夕暮れ」とあります。
黄金色に輝く山ぎわを、カラスの飛んでいく侘び寂びも良いですが
私は、鮮烈な夏の夕暮れが大好きです。
夏の夕暮れは、マジックアワー。
7月梅田のヨドバシ前の陸橋で、突然、遠くで雷が鳴ったかと思ったら、
いきなり暗転。ものすごい大粒の雨に叩きつけられました。
あわあわと雨宿りに奔走したのも束の間、嘘のように止んで
逃げ込んだファサードから出てみたら、
空全体が、朱赤とマゼンダの混ざったような夕焼けです。
さっきまでの、雑然とした風景は消え去り、
雨上がりのサッパリした街は、全体をふんわりピンキーにお化粧。
濡れた路面がところどころ、金色に反射して眩しく光っています。
いつもは存在を主張する深紅の観覧車や原色の看板も、
柔らかなフィルターをかけたように溶け合い、
どこか外国の街角のように佇んでいます。
ふいに、街ゆく人が一様に、南の空にスマホをかざしだしました。
そこには、ビルの合間からスックと立ち上がった虹が、
大きなアークで街を囲っていたのです。
完全に消え去るまでの数分間
突然現れたトワイライトゾーンを共有した人々が
三々五々と散って行ったあとは、
魔法が解けたかのように、いつもの梅田が戻ってきました。
聞くところによると、夏は湿度が高いため、
空気中の水蒸気で、波長の短い黄色やオレンジの光が散乱され、
波長の長い赤い光が届きやすく、赤系の夕焼けになることが多いとか。
特に、雨上がりなどは、燃えるような濃い赤や
マジカルな紫色になることもあるようです。
一瞬で心奪われる、夏のセンス・オブ・ワンダー
今年はいくつ胸に刻めるか、楽しみです。