博物館
2025年1月20日
デザイナーの寺垣です。
本年もよろしくお願いいたします。
先日、鳥取県立博物館で開催されておりました「幕末土佐の天才絵師 絵金」という企画展に行ってきました。
絵金(えきん)とは幕末から明治初期にかけて浮世絵師として活躍をされた土佐の弘瀬金蔵こと「絵師・金蔵」の愛称です。
高知の夏祭りの数日間に高知各所の神社等で飾られる貴重な文化財でもある作品が、県外の各地で展示をされる機会があるそうで、今回の展示で「芝居絵屏風」「絵馬台」「絵馬提灯」などの多くの作品を見ることができました。
代表的な作品である『芝居絵屏風』は、歌舞伎や浄瑠璃といった芝居の名場面を二つ折りの屏風に描かれたものだそうで、迫力のある構図と極彩色が特徴です。
作品に印象的に使われている鮮やかな色彩は邪気を家の中に入れない「魔除けの色」としての意味を持っているそうですが、祭りを再現した薄暗い展示室に照明で浮かびあがるような展示の効果も相まって作品が冴え渡ります。緊迫した場面を描写したおどろおどろしい作品には独特の世界があり、「怖い!怖すぎる…」となんとも言われぬインパクトを与えます。
しかし、鮮烈で奇想な世界であるものの、ひとつの画面に複数の場面を描いたストーリー性のある劇的な構図は『異時同時図(いじどうじず)』と言われるそうで、作品の魅力として奥の深さを感じます。さながら現代の漫画のようであり、細部まで繊細に描写された作品は情報量も多く「巧い!なるほど!」と引き込まれてしまいます。祭礼の絵だけではなく、日常を描いたユーモアのある作品もあり楽しめました。
普段はなかなか見ることができないアートや歴史的な資料を見ることができ、貴重な体験となりました。